チョコがおいしい季節

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山の踏査が終わって車の前で、地下足袋を履き替える二人の会話

   

女「ヒロクン、今日の山の踏査大変だったね」

男「めっちゃ、急斜面やし、GPS電波の入りも悪いし大変やったわ。疲労感たっぷり。バカも服にひっつきはじめて、秋も深まったって感じやね。」

女「はい、チョコレート。疲れた体には一番よ。」

男「まじで!そんなシャレオツなもん、山に持ってくるのは気の利くミッチャンならではやね。俺、水しか持ってないもん。」

(汚いペットボトルに入った水を見せる)

 

 モグモグ

  

男「めっちゃうまいなあ。体にチョコが染みわたる~」

女「あらら、ヒロクン、急いで食べるから、あごの下にチョコがついちゃってるよ」

男「ほんと?ちょっとミッチャンとってや・・・」

  

 二人は正面から見つめあう。目と目が合う。そのまま手を伸ばしてミッチャンがチョコをとる。

  

女「もう、ヒロクーン、チョコやとおもったら、ヤマビルよ。ヤ・マ・ビ・ル。ホント、紛らわしいやつ!」

(そのまま地面に投げ捨てる。靴でグリグリする)

男「なんや、ヤマビルか。俺も食べこぼしがあごの下につくなんて、奇跡的やんと思ってたんよ。ワハハハハ」(豪快に)

女「ウフフ・・・」(ほほえみながら)

男「ほら、シカも鳴いてるね」

 

 

 

里山の秋はこうやって、深まっていくのであった。